高校生選考委員に申し込みをされた芝浦工大附属高校にお邪魔して、学校から投票する1作品を選ぶための学内選考会に参加させていただきました。
芝浦工大附属高校は、本企画に最も早く申し込んでいただいた学校です。生徒4名は全員が新3年生。生徒のみなさんは今回の企画にとても前向きに取り組んでいて、それぞれが10作品程度の映画を観たようです。4名それぞれが自分が観た映画の中から一番良いと思ったものを選んで事前にみんなで共有し、選考会の日までに全員が4作品を観ている状態でした。
生徒のみなさんが選んだ映画はどれも素晴らしい映画でした。撮影地も違いますし、取り上げている社会問題もそれぞれ異なるものです。全員がこれらの映画を観るだけでも視野が広がり、対話での気付きも幅広いものになりました。
今回は選考の方法についても生徒が話し合って決めます。一人の生徒から、それぞれの作品について感じたことを付箋に書いて、それを見ながら3つの視点で各自が採点するのはどうか、という提案があり、そのやり方で決めることになりました。
まずは、各作品について一人一人が感想や気付きを共有します。
生徒たちはドキュメンタリー映画を観るのも初めてだったようです。選んだ映画の中には、死や戦争と繋がるような重たいテーマのものもあります。また、普段身近に接していることでも、その裏側で貧困地域や弱者に悪い影響を与えていることにもあることに気付きを得たようです。
4つの異なる作品についてみんなで対話をしていると、実はいろいろな事は繋がっているという事に気付きます。映画で取り上げているテーマは、表面的には一つの社会問題のように見えるけど、その裏側には社会体制の課題や、文化的背景が絡み合っていることに気付きを得ました。
また、映画に登場する人たちの想いにも共感したり、受け入れられないと感じたり。世界には様々な社会があり、多様性という言葉で片付けられない難しい問題なのだ、とも感じたようです。
同じ作品を観て、みんなで対話することで学びが深まっていく瞬間です。
それぞれの映画について対話した後、生徒たちは、それぞれの映画に対して、
① 新しい気付きや発見があったか
② 心が揺さぶられたか
③ 自分のこれからに役立つか
という視点でそれぞれ10点満点の採点をしました。
採点の結果、1位と2位は僅差になりました。どちらの作品も甲乙つけがたい状況。
ここで、担当の増本先生が「それぞれ、どちらの映画が良いと思ってる?」という問いかけをします。すると、それぞれの映画に対してちょうど2人ずつに分かれました。
そこで、この2作品について、それぞれが「高校生が観るべき映画」にふさわしいことをアピールするプレゼンテーションを行う事になりました。2つのチームに分かれ、なぜこの映画を観て欲しいか、を2人で考えて文章にしました。どちらのチームも、自分たちが感じたことを表現した素晴らしい発表でした。
結果は、ここでお伝えするのは控えます。
今回の選考会を通じて、生徒のみなさんは映画を観るだけではなく、対話を通じてその背景にある社会問題や文化的背景を学び、一緒に考えることで視野を広げ、思考を深めていました。芝浦工大附属高校さんは探究に力を入れているとのこと。日頃から自分の意見をまとめ、対話をしながら考えを深めているからこそ、一つのドキュメンタリー映画から、こんなにも広く深い学びに繋げられる生徒達の力に驚かされる選考会でした。
文責 小林誠司(ミライプラス)
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